「振り返り」がもたらす大きな価値
学校や会社では、「振り返り」が実施される場面があります。
「過去を振り返るより未来を見て進め」みたいな意見もありますが、振り返りをする方がより良い未来を築くことができます。
さまざまな起業家や研究者によると、振り返りがもたらす効果としては次のようなものがあります。
状況を俯瞰して捉えることができる
課題が整理でき、対策を考えやすくなる
新しいアイデアが見つかりやすくなる
感情に振り回されにくくなる
軌道修正や目標設定が明確になる
集中している時は、見落としていることが意外とたくさんあります。また、人は自分自身を客観的に見ることが苦手です。
振り返りはそれらの「盲点」に気付く貴重な機会となります。やるべきこと・やりたいことがある中で立ち止まるのは勇気が入りますが、ぜひ習慣として取り入れてみてください。
振り返りを評価や反省と一緒にしてはいけない
ただ、多くの組織で実施されている振り返りは、「目標が達成できたかどうか」ばかり注目されます。うまくいっている時はいいですが、正直あまり楽しくありません。
また、自分で振り返りをする時によくあるのが、反省や自己否定になってしまうこと。
評価や否定が入り込んでしまうと、振り返りは続きません。
(嫌な想いをするために立ち止まるなら、やりたいことをやった方がマシですよね)
実際のところ、振り返りをする際は「楽しくて、自信になる」ことがとても大切です。
ここでは4つのポイントに的を絞ってご紹介します。
ぜひ次のポイントを意識しながら、一週間・一ヶ月・四半期・一年の振り返りをしてみてください。
振り返りを実施する上で大切なポイント
1 「事実」に基づいて記録する
人は直近の気分に左右される傾向があります。
1ヶ月全体で見れば充実していたはずなのに、昨日イヤな出来事があったことで「今月は最悪だった」と感じてしまうことがあります。
(逆に、反省すべきことがたくさんあったはずなのに、「結果が出たからOK」としてしまうこともあります)
気分や印象で判断したり、都合の良い解釈を加えたりせず、まずは「事実」だけに着目することが大切です。
2 「感情」も観点に含める
事実を整理する時は感情を加えないことが大切ですが、整理できた後は「事実に対してどう感じているか」を考える必要があります。
人間も動物である以上、感情を完全に切り離すことはできません。ポジティブに感じているのか、ネガティブに感じているのか、そしてそれはなぜなのか、感情の分析から気付けることがたくさんあります。
本当は不安だと思っているのに、前向きに捉えようとしている
本当は嬉しいのに、調子に乗ってはいけないと諌めている
本当は不満なのに、これも必要だと自分を納得させようとしている
人は感情をごまかしたり正当化したりすることがあるので、振り返りの際に「本当の感情」に目を向けましょう。
3 「観察」に重点を置き、批評は加えない
感情にも関係することですが、振り返りをすると必ず「不都合な事実」が出てきます。そして、それに対して批評を加えたくなります。
やるべきことができてない → 自分は意志が弱い人間だ
職場の付き合いがストレス → あの人には問題がある
人から理解・応援されない → 自分には人徳がない
批評を加えてしまうと、振り返りが楽しくなくなる上に、今後に向けた改善も難しくなります。(自己批判はやり方を間違えると、改善につながらないどころか事態を悪化させてしまうので、注意が必要です)
植物や昆虫を観察する時、「茎が短いからダメ」「羽が黄色だから良い」みたいな評価は加えませんよね。自分自身の振り返りも、それと同じように観察することが大切です。
4 「自己理解」に努める
振り返りの最大の目的は、自分自身を深く理解することにあります。「できたかどうか」をチェックするためではありません。
たとえ調子が良くない時でも、「できてないからダメだ」ではなく、「こういう状況だと自分は力を発揮できないのか」と知ることが大切です。
・どんな時に前向きな気持ちになり、どんな時に後ろ向きな気持ちになるのか
・どんな時に仕事や勉強に集中でき、どんな時に注意散漫になるのか
・誰といる時が楽しくて、誰といる時がつまらないのか、そしてそれはなぜか
・何を考えていることが多くて、本当はどうしたいのか
冷静に観察できるようになればなるほど、自分のことが深く理解できてきます。そして、自分を深く理解するほど、自分に合った行動や人間関係が増えていきます。
振り返りを積み重ねて、「人生の物語」を紡ごう
事実をもとに、感情を汲み取り、行動を観察し、自分を知る。振り返りを積み重ねることは、「人生の記録」を積み重ねることです。
そして、その記録が積み重なって、自分だけの「人生の物語」が紡がれていきます。
振り返りを、ただの進捗確認や批評で済ませてしまうのはもったいないです。ぜひ未来を好転させるためのポイントを押さえて、効果的な振り返りを進めていきましょう。
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